PythonでTENORI-ONを動かすblog(仮)

PythonでMIDIを作ってYAMAHAのTENORI-ONをごにょごにょするよ。

ワークショップ)「言語としてのスケッチ」交流会

ひょんなことからこちらのイベントに参加したのですが、学ぶことが多かったので記録に残したいと思います。(主催者には事前確認済みです)

 

 

講師が東京大学教授の山中俊治先生。会場がスケッチブックで有名なマルマン。
しかしタイトルが「交流会」なので、誰と誰が交流するのだろう?と思いながら会場へ。

 

5分遅れで到着した本社ビルのマルマンエレベーターがあまりにもマルマンすぎて、テンション爆上がりです。

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入り口のマットもマルマンでした

 

最初は山中先生の自己紹介〜過去のスケッチを鑑賞。
書籍「デザインの小骨話」等で見かけたスケッチもあれば、2009年「骨」展で展示されていた玉屋庄兵衛さんとのからくり人形作品のこぼれ話などもあり。

 

 

「あ、もうお腹いっぱいです」という気持ちになりかけたところでお絵描きの時間に突入。
というか、絵を描くワークショップだったんですね。ということにここで気づきました。

 

平行線を描く

肩の関節を使って円弧を描く。肘、手首を使って円弧を描く。
その応用で平行に線をスライドすると、平行線が描ける。

 

楕円を描く

楕円には始点も終点もない。
ペンを紙につけずに手首で連続して円を描く。途中からペンを乗せる。
(※自分は回転方向を左右逆にしたりペンの持ち方を変えても描き味が異なるという発見もあり。)

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さながら日本庭園のような楕円の集合。


左手を描く

頭を動かさず、できれば片目で見て描く。

なぜうまく描けないかというと、人間の目は色々な角度から捉えようとするため、違う向きの絵が混在してしまう。
脳が形を理解することで、形を見ることを妨げる。一度わかってしまうともう見なくなってしまう。

 

↓注)自分の絵です

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小指側から描いてたら、親指を描いてる途中でタイムアウト。故に爪がない。

 

余白を描く

左手が存在することで、切り取られた「空間」を描く。
それから、爪が存在することによって、「えぐられた肉」を描く。
=>手という既知のものを捉えるのではなく、空間という未知のものを観察することで、純粋に形のみを捉えることができる。

 

↓注)自分の描いた絵です

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フォトショップで切り抜いて残った、余白をイメージすると近いかも

 

手に構造を与える

手の輪郭ではなく、軸として存在する骨を描く。中心軸を見る。

↓注)自分の描いた絵です

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骨格が正しいかどうかは気にしてはいけない


自分は美術やデザイン技術についての専門知識や経験がなく、高校卒業以来まじめにスケッチをしていないのですが、描いた絵を順に比較して見ると、次第に立体的になっていくのが興味深い。

 

総括「言語としてのスケッチ」とは
=> 無垢な目で見ること、構造を理解すること

 

・・・自分はおそらく、この言葉を本や展示で文字として見た場合、概念としてわかったつもりで止まっていたかもしれない。
実際に手を動かして経験をすることで初めて得られるものが多いと思いました。

 

それこそ「脳が(形を)理解することで、(形を見ることを)妨げる。」なので、たまたま今日この文章を見た方は冬休みに画用紙を買ってお絵描きをしていただければと思います。

 

また、来月も異なるゲストにて、がようしラボのイベントが開催されるとのことですので、機会があれば是非ご参加ください。

 

 


山中先生がさらさらと描くスケッチの線に驚嘆。完成形の美しいものは、プロセスも美しい。

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山中先生の描く左手


 

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質疑応答とともに。貝はなぜ螺旋状に成長するのか、というスケッチ。

 

山中先生よりご紹介のあった参考書籍。ベティ・エドワーズ「脳の右側で描け」

www.amazon.co.jp